みなさんは「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」の違いはご存知でしょうか?
スポーツ外傷とは、プレー中に明らかな外力によって負傷することをいい、1回の衝撃で負傷することが多いです。スポーツ障害は、繰り返し過度な負担が積み重なり、痛みを主とした慢性的な症状が続くものをいい、オーバーユース(使い過ぎ)・オーバーロード(過負荷)により負傷する場合が多いとされています。
スポーツケアの基本として以下の3つがあります。
1.けがをした際の素早い処置、早期回復に向けてのアプローチ
2.けが予防・パフォーマンス向上のための施術・運動指導
3.プレー後のからだのメンテナンス
けがの応急処置や予防方法、当院のスポーツケアの施術内容についてご紹介します。

FIRST AID応急処置

スポーツ外傷・スポーツ障害が起きた場合、まずRICE療法を応急処置として行います。

  • Rest(安静)患部を安静に保つ
  • Ice(冷却)患部を冷やす
  • Compression(圧迫)患部を圧迫する
  • Elevation(拳上)患部を心臓より高く上げる

RICE療法に「P」と「OL」を加えたPOLICE療法というものもあります。

  • Protection(保護)添え木や装具などを使用して患部を保護する
  • Optimal Loading(適切な負荷)組織の修復を促しケガからの回復を早めるために患部に適切な負荷をかける
  • Ice(冷却)
    Compression(圧迫)
    Elevation(拳上)

今ではRICE→POLICEが主流になってきています。安静にするより、適切な負荷をかけるほうが早期回復が見込めるという考え方です。
※体格や年齢、けがの箇所や程度などによって適切は負荷は異なります。けがに対する専門知識や経験がない場合は、まずは安静にしておきましょう。

PREVENT INJURYけがの予防

トレーニング・運動前の確認

トレーニングや運動を始める前に、無理なく運動できる体調か、運動に適した服装か、周囲の環境でけがをしそうな物などがないか、きちんと確認しましょう。そうすることで、運動中のけがのリスクを減らすことができます。

チェック項目
  • 健康状態体調が悪い時や、周囲から様子がおかしいと言われた場合は運動を控えましょう。
  • 服装動きやすい服装、天候や気温などにあった服装で運動しましょう。
  • 運動環境運動する場所、施設、用具が安全か点検・整備をしましょう。

ウォーミングアップとクールダウン

ウォーミングアップを行うことで、からだの動きが活性化され、けがの防止やパフォーマンスの向上につながります。プレー後には、軽く体を動かしたりストレッチを行うことで、体内に蓄積された乳酸など疲労物質の排出が促され、運動の疲れを早く回復させることができます。

ウォーミングアップ

ウォーミングアップは、体を温めて動かしやすくすることが目的です。筋肉の温度を上げて血流促進できるウォーキングやストレッチなどがおすすめです。

  • ウォーキングからランニングへゆっくりとウォーキングから始めます。徐々にペースを上げてランニングへと移行します。心拍数や血流を上げ、少し汗ばむくらいまで行うと良いでしょう。
  • ダイナミックストレッチトレーニングや運動で使う部位の筋肉や筋を中心に行います。ストレッチの中でも「ダイナミックストレッチ」という体を動かしながら関節の曲げ伸ばしや回旋などを行うストレッチが適しています。
クールダウン

クールダウンは、運動によって興奮状態になった神経や筋肉を鎮静させることが目的です。運動の強度を徐々に下げ、心拍数を平常に戻すとともに、疲労物質の排出を促すストレッチを行います。

  • ジョギングからウォーキングへゆっくりとしたペースでジョギングを行います。呼吸や心拍数が落ち着いてきたらウォーキングへ移行します。ウォーキング中はしっかりと酸素を取り込めるよう、深呼吸しながら行いましょう。
  • スタティックストレッチゆっくりと時間をかけて筋肉を伸ばしていく「スタティックストレッチ」を行います。筋肉を伸ばした状態を一定時間保持することで、関節の可動域を広げたり、筋肉の緊張をほぐすことができます。

水分補給

運動を始める前にはあらかじめ水分を摂り、運動中もこまめに摂るようにしましょう。長時間の運動や、気温や湿度の高い環境で運動する際は特に注意するようにしましょう。

正しい水分の摂り方

正しく、効果的に水分を摂るには、飲むタイミングと量が大切です。

  • 飲むタイミング運動を始める約30分前に一度摂りましょう。運動中は、喉が渇いていなくても15〜20分ごとにこまめに摂るようにしましょう。運動後の水分補給も忘れずにしましょう。運動前後に体重を測っておくと、運動で失われた水分量を把握するのに役立ちます。
  • 飲む量一度に飲む量は200mlが適しています。人の体は一度に200ml程度しか吸収できないので、余分な水分は汗や尿として排出されていきます。一度にたくさん飲みすぎると、内臓にも負担がかかり運動に支障が出る場合もあるので、気をつけましょう。
簡単な経口補水液の作り方

経口補水液はスーパーやドラッグストアで購入することができますが、身近な材料で手軽に作ることができます。効率よく水分と電解質を吸収するには、糖分とナトリウムのバランスが大切になりますので、作る際は正確に計量しましょう。

材料 水1L 水500ml
砂糖 大さじ4と1/2(40g) 大さじ2と1/3(20g)
小さじ1/2(3g) 小さじ1/4(1.5g)

この基本の経口補水液に、レモン果汁を加えても良いでしょう。レモン果汁が入ることで、クエン酸やカリウムも摂取することができます。分量は、水1Lに対してレモン果汁50ml、水500mlに対してレモン果汁25mlとなります。砂糖、塩の量は基本レシピと同量です。

トレーニング・運動のやりすぎに注意

適度な負荷のトレーニングは、けがをしにくい体づくりに有効とされています。しかし、自分の許容量を大きくオーバーしたトレーニングを続けると、疲労回復が追いつかずけがや体調不良の原因となります。また、一度けがをしてしまうとそこを庇って他の箇所を痛めたり、精神的に不安定になってしまうので、トレーニングと休養のバランスはとても大切です。不調のある時は無理せずしっかり休養を摂ることも、長くスポーツを行う上で大切なポイントです。

バランスのとれた食事・回復力を高める栄養素

トレーニングや運動に耐えられる体づくりをするためには、毎日の食事のバランスも重要です。主食・主菜・副菜・乳製品・果物をとることで、必要な栄養素をバランス良く摂取することができます。けがの回復力を高める栄養素は、けがの種類によって異なります。

骨折・疲労骨折からの回復
  • カルシウム
    乳製品、魚介類、大豆製品、野菜、海藻類など
  • ビタミンD、ビタミンK
    ビタミンD…魚、きのこ類、鶏卵など
    ビタミンK…鶏肉、葉物野菜、大豆製品など
  • マグネシウム
    魚介類、海藻類、大豆製品など
靭帯・関節のけがからの回復
  • タンパク質(コラーゲン)
    赤身肉、魚介類、乳製品、大豆製品など
  • ビタミンB6、ビタミンC
    ビタミンB6…魚介類、肉類、乳製品など
    ビタミンC…魚介類、きのこ類、青菜など
  • 鉄分
    肉類(豚肉、レバーなど)、魚介類、大豆製品など

からだのメンテナンス

トレーニングや運動で疲労の蓄積した体は、適切な施術を行うことで回復を促進することができます。

スポーツケアの施術メニュー
  • スポーツマッサージ
  • キネシオテーピング療法
  • 電気療法(超音波/微弱電流)